不動産登記とは

不動産登記の意義

不動産の所有者は誰なのか?

その不動産に住んでいる人でしょうか?
契約書(売買・贈与)に所有者と記載されている人でしょうか?
登記簿の載っている人でしょうか?

答えは、その不動産を「売ります・買います」と言った買主、「あげます・もらいます」と言った受贈者が所有者になります。(民法176条「物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによって、その効力を生ずる」)
厳密に言えば、契約書も必要なく、例えば売買であれば「売ります・買います」と売主買主双方の意思があれば、所有権は移動しますので、その時点で買主が所有者になります。
しかしこれだけでは、不動産の所有者が誰なのか第三者から知ることが出来ません。

そこで民法は、売買や贈与があって所有者が変更したことは、登記をしないと、当事者以外の第三者に主張出来ないと規定しています。(民法177条「不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗できない。」)

この規定により、取引の安全と円滑を図ることが不動産登記の意義と言えます。

不動産登記の効力

①対抗力

土地の所有者と金融機関が契約した「抵当権設定契約」は、抵当権の登記がされていなければ、第三者に抵当権を主張出来ません。

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登記簿から権利の流れを説明します。
1.元々の所有者はA
2.令和2年2月10日にAがBに売却した。
3.令和5年5月17日にBがCに売却した。
この時、実は2.の時にBはAから不動産を購入する際にX銀行からお金を1,000万円融資を受けていて、この購入した不動産に抵当権を設定する契約をしていた場合、BとX銀行との間では抵当権設定契約をX銀行はBに主張することは出来ますが、売却後のCには主張出来ないということです。

②権利推定力

登記記録を信じて不動産を買った場合、例え無権利者からであっても無過失であると推定されます。
取得時効を主張する際に、その不動産の占有が無過失の占有と推定されるということです。

③形式的確定力

無効な登記であっても、登記がある以上は無視できない効力です。
先ほどのBからCの登記が実はCが偽造等を駆使して取得した登記の場合、登記自体が無効になります。
その後、本来の権利者であるBからYに売却した場合、登記を申請しても、登記簿上は現在の所有者はCになっているためBからYへの所有権移転登記は出来ません。
この場合は、一度BからCへの登記は誤りのため削除して、所有者がBである登記にしてから次の登記をすることになります。

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